橋桁に水陽炎(みづかげろう)ゆらめく春の川、世は事もなしと言へるがごとし
ざざざざざ思考の河原がゆれうごく底なる石群(いしむら)紫に輝(て)る
ある記憶を辿りゐたるに深々と眠りたらしも 煉獄の夢
思ひ高め挑まんとする難問に五色の虹のかかりて解けず
あまりにも時間が速く過ぎてゆくあせる気持を抑へかねつも
想へるにかつて軋轢ありし人らも皆いまは亡しただ茫茫たり
残れるはさまざまな記憶の骨格のみ。有無を言はせぬ「時」の作用よ
うれしいとか憎らしいとか悲しいとか人の心はありて無きなり
やんぬるかな我の係累ことごとく死にて逝きたり底なしの闇へ
さらさらとその末ほつれ乱れつつ小流れがゆく脳の山脈を