東北旅行詠-4

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「曇る日は田沢湖さらに青さ増し金色(こんじき)乙女像抽(ぬ)きんでて顕(た)つ」

「棲めざりし田沢湖に今ウグイゐて妻が撒く餌にどどっと寄り来」

「宿求め夕靄深き鄙の道八幡平へあせりつつ駈く」

「高原は秋にタンポポ綿毛つけ幾許(ここだ)並びて微風にも崩(く)ゆ」

「朝霧の霽(は)れゆく迅(はや)き前山は標高千五百の上へ突き出(い)づ」

「八幡平に同宿したるは名古屋生まれ岩手に学ぶ青年なりき」