色を印象づけるために、漢字を使う

「やわらかい雪をかぶれる萱原に稲妻のこし キセキレイ飛ぶ」(fumikoblueさん2002年1月7日

殺伐とした冬景色(もっとも、ここでは雪化粧した萱原)でも、きらめくような美しい瞬間があることを、この歌は述べていますね。そこをうまく捉えられた。
 歌や添え書きで言われる「稲妻(型)」というのは、鶺鴒の描く飛行曲線のことなのですね。少し解かり難いかな。また、キセキレイは、黄セキレイで、ここは色を印象づけるために、漢字を使われる方がいいでしょう。短歌は、まず字面が目で見られ、そして読まれますからね。その第一印象が大事なのです。しかし、全体としては、キレのあるいい歌です。「セキレイ」と片仮名にされたところなど剛直な感じの「稲妻」と呼応していて適切ですしね。それと、初句「やわらかい」との対比も生きています。(ただし、これは文語短歌ですから、「やはらかな」がいいですね。あえてここだけ新仮名とする理由はないようです。
 添削では、もう少し語調を整えます。

添削:
「やはらかく雪のおほへる萱原を稲妻ゑがき黄セキレイ飛ぶ」(fumikoblue)

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