推敲の仕方
「報われぬ道と知りつつ歩みゆくや老女の姿吾に重なる」 (山口須美さん2001年7月13日)
この歌,状況が分かりませんね。つまり,老女が歩いている目的がはっきりしません。ですから,何がどう報われないのか不明ですね。したがって,最後の心情表白も生きてこないのです.歌に盛り込むべき最低限のものがあるわけです。その点に注意して,もう一度詠み直してください。
50歳の半ばになり、日々老うることの怖さと老後の生活の不安がいつも私を追いかけます。老いた人が歩いているところを通りすがりに見たときふと感じたことです。よろしくお願いします。
「黙々と只ひたすら歩みゆく老女の姿にふと吾重ぬ」 (須美さん)
この老女の姿にその過去生のすべてが詰まった深い人生的な疲れを見られたのだと思います。人の(つまり自分の)行き着く先がこの老女の姿に見えてしまった、そういうことですね。
改作
「濃き翳を背負ひ黙々と歩み行く老女の後姿(ウシロ)やがてわれかも」 (須美)
(後姿=うしろ。短歌ではよくこのように読ませます。)