現実感を与える固有名詞
「甘き香に惹かれて見れば葉がくれに葛の花あり石畳道」(宋見)
[足柄の箱根の山に延ふ久受(くず)の引かば寄りこねしたなほなほに・万葉集]
我が家から少し登れば箱根旧道の石だたみ路にさしかかります。万葉に詠われているようにくずが延び放題に延びています。花は葉にかくれていますが甘い香りに引かれて葉を掻き分けてみますときれいな花が見えます。石畳の道はもう台風の風が吹きくずの葉を裏返して吹き抜けています。(石畳道のところを始めは箱根旧道としたのですがどちらがよいでしょうか?)
弱い台風が九州方面に接近中ですが、その余波が箱根の方にも多少出ているようですね。添え書きの万葉集の引用歌、あまりに的確に状況に合いますが、そうした場所に住まわれている幸いですね。お作で「石畳道」よりは「箱根旧道」がいいようです。こうした歌では、固有名詞が現実感を与える効果は侮れません。
「甘き香に惹かれて見れば葉がくれに葛の花あり箱根旧道」(宋見)