咲き満つる

「ハナミズキ咲き満つ路をそぞろゆくポトマック河畔のサクラを胸に」(がんてつ)
アメリカから贈られたというハナミズキですが、今では並木としてアチコチの路で美しい花を魅せてくれています。一方アメリカへ渡ったサクラも、ポトマック河畔に大きく育って人々を魅了しているそうです。双方が戦争という時代を過ごしましたので、抜かれたり折られたりの妨害にあったようですが、それを乗り越えていまが在る事を後になって知りました。

ハナミズキは我が家の前の歩道にも並木をなしています。(今が花どきですね。)歩道を整備する時に前立っていた立派な樹木が伐り倒され、代わってナハミズキが植えられました。以前は夏など街灯を受けて夜中でもセミが盛んに鳴いたのはその樹木でした。セミがぱったりと来なくなりました。動かない、大人しいからと、人は樹木をぞんざいに扱うものですね。ここで言われている桜対ハナミズキのお話は興味深いですね。ポトマック河畔の桜もすっかりワシントンに溶け込みましたが。お作で「咲き満つ」ですと終止形ですのでここで一旦切れてしまいます。ここは次の「路」という体言にかかるわけですので連体形「咲き満つる」とせねばなりません。字余りになるからといって、文法ミスを犯すのはもっとまずいですね。もちろん、この一首、内容的にも奥行きがあっていいですね。「ハナミズキ」との対比(と米国であること)でわざと「サクラ」と片仮名にされたり、工夫をされていますし。
添削:

「ハナミズキ咲き満つる路をそぞろゆくポトマック河畔のサクラ思ひつつ」(がんてつ)