説明書き
「トマトになり人を待たせる18分これが限界サラダになれぬ」(遊葉)
約束の行き違いで、人を待たせてしまい待ち合わせ場所に電車で向かいました。突かれたらプチンとはちきれそうなほど早く着いて欲しいと張り詰めた車中の18分。柔らかなドレッシングと交わる余裕など無い心境でした。その時を歌にしましたが、このように状況をお伝えしてもよろしいのでしょうか?
このように状況説明など添え書きをしていただけますと、お作がそれをどれだけ伝え得ているか解かりますし、お作だけからは何を言われたいのか解からないときに助かります。添削の参考になるのです。このお作も喩えが効いておらず、大変解かりにくい歌になっていますね。添え書きが無かったらどなたも理解出来ないでしょう。(なお、短歌は原則的にはそれ自体のみで伝えたい感動がよく伝わるように詠むことが求められます。実際、古来秀歌と言われる歌は、大抵は説明書きなしで、読んで直ぐ感動するものですね。ここでは添削の参考として、状況説明などを添え書きして戴いていますが。)お作で、「トマトになり人を待たせる」はご趣旨に照らしてよい表現ではありません。待たせたことでトマトのように心臓がパンパンに張ったのでしょうから。「サラダになれぬ」とは、添え書きの「柔らかなドレッシングと交わる余裕など無い心境でした」を表現したもののようですが、読者にそのように伝わりますかどうか。この状況を喩えを使って詠むこと自体が無理なもかもしれませんね。切迫しているのであれば喩えを持ち出す余裕もない筈ですからね。
添削:
「人待たせトマトの気分の18分もう限界だサラダになれぬ」(遊葉)