心象詠と心理詠

確かなる道見あたらず振り仰ぐ裸木透す永久の青空 (かすみさん2003年1月21日
心象詠と心理詠とは異なるのでしょうか?

この歌で「振り仰ぐ裸木透す永久の青空」は実際の光景ではなくてかすみさんの心に浮かんだ裸木であり青空なのでしょう。すくなくとも心深くに投影された景色でしょうね。それを詠まれたこの歌は心象詠と言えます。ただ、前半が心の中の葛藤に似た心理が表白されており、心理詠としての要素もあります。つまり、心象詠は何か心的なことが原因で心に描かれた(あるいは浮かんだ)景色・情景を詠んだものであり、心理詠は心の微妙な機微を詠み、読者の心理に強く訴えてくる(作者の心理が投影される)要素の強い歌と言えましょう。端的に言えば心理描写が主体の歌、ということになります。その意味では、心象詠はもっぱら作者個人の自己表現にかかわりますが、心理詠は作者の個にかかわりがありながらも、他者の心理を詠むこともありますね。
 歌ですが、「裸木透す」は「はだかぎすかす」と読ませるのですね。道が見あたらないことと、永久の青空の関係が少し分かり難いかな。これだけ個人的な歌には余人は手を触れない方がいいでしょう。このままで。