歌の焦点

「職はなれこたつにはまり歌詠むに冬の日の出の光まばゆき」(詩男さん2003/01/22
お宅から海が見えるのですね。しかも東の海で、朝日が見られる。いいですねー。(そうか、神戸あたりならあり得ますね。)「まばゆき」か「まばゆし」かですが、どちらも使います。前者は連体形止めで(「まばゆき光」の転置形)、やや余韻を残す形。後者は終止形止めで、一応言い切る形ですね。結局語感の問題でしょう。
 歌ですが、後半の情景が良過ぎるといいますか、いかにも絵画的で、劇的な美しさですね。それと前半にある「職はなれこたつにはまり」といった日常的な形而下的行為との対比が面白いところです。つまり、この歌には主題が2つあるということです。退職してこたつでごろごろ?(失礼!)している、ということと、美しい海上の日の出の光景です。主題が複数あると、歌は大抵失敗します。焦点がボケてしまうからです。それを救い生かすには、一方を他方の引き立て役、修飾句となるように詠むことですね。
改作例:
「定年後の冬はこたつで歌を詠む時には海の日の出を見つつ」 (詩男)