口語新仮名、文語旧仮名

「紅葉の段のぼるとき光(かげ)うごき銀杏散るなりしぐれのごとく」(あすかいさん2002年11月21日


「散るなり」は文語旧仮名、「ごとく」もしかり。これは全体的に文語短歌となっています。統一されているという意味では、この歌はいいですね。(ただし、言われるような新仮名遣いではありません。「散るなあ」「ように」なら新仮名遣いです。もっとも、この歌にはそぐわないですね。)


「色のよきかたちの良きと比べ合いて紅葉落葉の山道くだる」(あすかいさん2002年11月21日


「色のよきかたちの良きと」は新仮名なら「色がよいかたちが良いと」ですね。だから、元歌では旧仮名遣いです。一方、「合いて」は新仮名遣いです。旧なら「合ひて」。
 

「夫の忌に遺産放棄を言い出でし息子のことばに思いめぐらす」(あすかいさん2002年11月21日
 

「言い出でし」は「言い」が新仮名で「出でし」は文語旧仮名(新仮名なら「出した」)。「思いめぐらす」は遣い。もっとも、本来は「思いをめぐらす」ですね。

「呆けし母の介護のひまのうたたねに母は寄り来て布団かけくれぬ(あすかいさん2002年11月21日


「呆けし」は文語旧仮名(新仮名では「呆けた」)。「かけくれぬ」も文語旧仮名(新仮名では「かけてくれた」)。「ひま」も文語だし、この歌は文語旧仮名で統一できていますね。言われるような新仮名遣いでは全くありません。

止めについて

前の記事

名詞止め