「おり」


「透かし見る袋の中の小さき梨すき間をうめつつ秋を待ちおり」
(桐子さん2002/07/22

添え書きでなるほど、です。つまり、まだ小さい梨の実が袋で包まれていて、それが日光に透けて見えており、あとは想像で、実が大きくなるにつれ、袋と梨の間の隙間が埋められて行くだろうという発想ですね。捉えどころに妙がありますが、少し理屈っぽいかな。
 結句の「おり」ですが、もともと文語の「をり」で、これを口語的に「おり」としたものなのでしょうが、これは文語でもなく、口語新仮名でもない、中途半端な語です。口語にしたければ「いる」とすればいいわけですから、まさに変な日本語の一つ。この語は現代短歌世界に氾濫していて、困ったものだと思っています。
添削:
「日に透ける袋の中の小(ち)さき梨育つがほどに袋を満たす」 (桐子)