2005年8月30日
- 2005.08.30
吾子二人いち早く吾より去りゆきぬ父・子の絆の薄さ示して 汗匂ふ童が膝に来て愛し息子らを斯く抱きしことなく 子供らはスキンシップを求むるに息子ら胸に抱きし記憶なし 孫抱きて息子らしきりに想はるる雷雨来たりて闇駆け巡る ハイビスカスぽかりぱかりと咲かせたる大衆食堂の這入り親しも
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
吾子二人いち早く吾より去りゆきぬ父・子の絆の薄さ示して 汗匂ふ童が膝に来て愛し息子らを斯く抱きしことなく 子供らはスキンシップを求むるに息子ら胸に抱きし記憶なし 孫抱きて息子らしきりに想はるる雷雨来たりて闇駆け巡る ハイビスカスぽかりぱかりと咲かせたる大衆食堂の這入り親しも
路地裏を散策しつつ夜閉づる花多きことやや不満なり 路地裏を散策するに道幅をいっぱい占めて自動車が来る この庭に確かに真紅の花数輪昼間咲きゐき今はまぼろし 昼間見しハイビスカスの赤色は暗夜に合はぬと思ひつつ歩む 駅ビルの向かふにデパートあかあかと灯せる脇に繊き月浮く 「お地蔵はいつも微笑みおはすかな真闇の中にほのと明りて
花どきの人らの狂乱しみじみとふところに秘む葉桜並木は 両岸の桜並木は緑々(あをあを)と風になびきて水を染めたり 公園にひしめき咲けるツツジらに桜若葉の緑(あを)反映す
夜の散歩にて:— 山茶花は散る花咲く花蕾さへここだく見えて今さかりなり 軒先に大輪の薔薇紅と白ただ二つのみ何ゆゑか咲く フラッシュに浮き出(づ)る深夜の花花の妖艶にして愁ひ秘めたり
立冬も過ぎて日の経し路地裏に寂しさ裹(つつ)み曼珠沙華咲く
路地裏の闇に群れ咲く赤と黄のハイビスカスに脅かされつ 女といふ性のあはれさ強さなど思ふ目前(まさき)に朱のハイビスカス 男といふ性の靭(つよ)さや脆さなど考へ歩むに月影蒼し
ほの暗き紫陽花寺に紫陽花の梅雨深むほど色顕ちてきぬ 顕ちくる(たちくる)だんだんと現れてくるという雰囲気や情景を表します
辛夷やや蕾の固さゆるめをり花天心に至れば春か 裕子原案のものを学が推敲し仕上げた二人合作です