常緑樹と冬木
- 2014.01.11
冬の陽に照る常緑の木の葉の色をりをり透明な青にきらめく よく見れば櫨の冬木は枝さらし小粒な銀の実を多(さは)につく
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
冬の陽に照る常緑の木の葉の色をりをり透明な青にきらめく よく見れば櫨の冬木は枝さらし小粒な銀の実を多(さは)につく
日を追ひて赤み増しゆく実をさはに捧ぐる路傍の花水木親し ガタガタと窓鳴り地震(なゐ)かと緊張す。家前(まへ)の国道をダンプ行くたび
見上ぐればローズジャイアントの花びらのふち秋の陽にかがやいてをり 青藍の朝顔いづれも奥ふかき芯部に白く水照りてあり 白百合はかなしきまでに美しき女(ひと)の微笑に倣ひて浄し
鉢植のベゴニアはこの春妻が植ゑ猛暑を耐へて初秋にも咲く
春に植ゑしペチュニアひと鉢豪雨にも猛暑にも負けず白花咲き継ぐ 鉢植のベゴニアは意外に強くして酷暑の今も花衰へず
交差路の一角占めて群生なす背高泡立草を久しく気にする 徒に漫に怡しく生い茂る背高泡立草を見上げては懼る 野生とは生くるに厳しと思ひしに群れ立つ背高泡立草は別 たとへばパリは北海道より高緯度と言へば驚く妻との夕餉
粉(こな)となり仏壇に散りぼふ紫陽花の花の愛(かな)しさ萼を残して 空(くう)に空(くう)無に無を重ね心経は数限りなく唱へられ来し アメリカに盗聴されて欧州は怒り日本は沈黙か、ああ情けなし
同年の友の皺顔つくづくと君も人の子、我も人の子 アガパンサス今年も咲けどいくつかは形くづれて憐れを誘ふ 場所塞ぎ仏壇に大きな紫陽花二花 わが娘(こ)は時々異な事をする
色づきし紫陽花の花が夜の闇に黒々として魔性をはらむ
咲きてはや萎え果てにけるガザニアよオーニソガラム・サンデルシーよ 萎えんとし紫蘭は花を保つかな母の日の花も衰へゆくに 手にて払ふ間もなく寄りくる蚊をやがて不気味に思ふ深夜の床に