植物

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地震かと

  • 2013.09.23

日を追ひて赤み増しゆく実をさはに捧ぐる路傍の花水木親し ガタガタと窓鳴り地震(なゐ)かと緊張す。家前(まへ)の国道をダンプ行くたび

  • 2013.09.19

見上ぐればローズジャイアントの花びらのふち秋の陽にかがやいてをり 青藍の朝顔いづれも奥ふかき芯部に白く水照りてあり 白百合はかなしきまでに美しき女(ひと)の微笑に倣ひて浄し

背高泡立草

  • 2013.07.25

交差路の一角占めて群生なす背高泡立草を久しく気にする 徒に漫に怡しく生い茂る背高泡立草を見上げては懼る 野生とは生くるに厳しと思ひしに群れ立つ背高泡立草は別 たとへばパリは北海道より高緯度と言へば驚く妻との夕餉

皺顔

  • 2013.06.27

同年の友の皺顔つくづくと君も人の子、我も人の子 アガパンサス今年も咲けどいくつかは形くづれて憐れを誘ふ 場所塞ぎ仏壇に大きな紫陽花二花 わが娘(こ)は時々異な事をする

花また蚊

  • 2013.05.30

咲きてはや萎え果てにけるガザニアよオーニソガラム・サンデルシーよ 萎えんとし紫蘭は花を保つかな母の日の花も衰へゆくに 手にて払ふ間もなく寄りくる蚊をやがて不気味に思ふ深夜の床に

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