脳髄を絞りしぼれど出でこざる忘れ難かるかの旋律よ
遠国の戦争の報道の危ふさはとくに戦況に関して際立つ
ほとほとに野生を知りぬ餌やれど我をるかぎり集はぬ雀ら
おほぜいの短歌(うた)の集成には亡妻より亡夫を詠みしがはるかに多し
響きよき量子コンピュータとふ語の魔力が現実のものとなる日が待たるる
いつ何処で何が起ころうと坦々と進みゆく‘時’こそ普遍の神なれ
国ごとに適した政治体制あるだろう非民主だからと敵視するは愚
何ごとか隣家の犬が吠えている脅しにもならぬ可愛い声で
‘善’も‘悪’も相対的ゆゑ‘悪’なくば‘善’もまたなし 苦き思ひに
家前の花水木には数知れぬ花芽が日毎ふくらみゆくも