「驚嘆の生命機構の精緻さも落水の理のごと単純ならむ」
「珍しく蝉が網戸に張り付きゐる部屋の灯に腹をぶざまに晒して」
「オーム幹部七名の処刑の祟りかや豪雨禍拡がり地震も起こる」
「牛や豚を屠殺するシーンしばし観て人間の残酷さをあらためて知る」
「朝ごとに書く般若心経 筆勢の強き日があり弱き日がある」
「地球では無数の生き物見てゐるゆゑ地球外生命への盲信生みぬ」
「植物の生殖は他家受粉が普通ならん自家受粉なすものあるは不思議で」
「熊蝉をゴリンバと呼びし少年期そのゴリンバが今朝も騒ぐも」
「「沁み出る」や「泌み入る」はミス、いつよりか混乱ありて散見すなり」
「三日月に金星寄り添ふ西空に祈らむことの多きこのごろ」