雀らは巧みに葉陰に隠れゐて餌やればどつと出でくるをかし
静寂へ消え入りさうな曲ながれ無数の人影脳裏をよぎる
空駆くる雲の影迅し東風(こち)ならずなほ冷えしるき北風にのり
不思議なりされどほほゑまし屋根にゐる鳥も空ゆくも二羽づつにして
たずねられ答へしあとでグーグルにて確かめてゐる妻を憎めず
ドラマなれどその主人公と演じゐる俳優の幸せを祈りつつ観る
道よぎる白猫(はくみやう)を追ひて苦笑ひ空しきことを他人(ひと)も我もす
群馬駈くる映像見つつ想ひをり宮柊二師の「馬の蹄」の短歌(うた)を
ガス会社の白き塔見え日の出どきは朱に染まりゐて燃ゆるがごとし
三月十日、遠山に冠雪あることの珍しく空は晴れて絶景なり