秋の雨つよくなりゆき金木犀の花みな散らして朱の淵つくる
「劈(つんざ)く」が「突(つ)きさく」ではなく「抓(つ)みさく」の音便なりとは永く知らざりき
‘シクラメン’の俗称はなんと‘豚の饅頭’由来を聞きても納得できぬ
さまざまな人らの歌集を読みて思ふ少し直さば良き歌多しと
意外にも水道水を手に温くく感じて秋の深きを知りぬ
空に浮く池とも見えて楕円の穴乱れ流るる白雲に空(あ)く
あらき風上空を吹き鰯雲鯖雲なべて流れ消えゆく
‘再構築’が本意の‘リストラ’が都合よく‘首切り’の意味に使はれきて久し
天皇制は非民主なれど必要ならむ即ち社会が未成熟の証(あかし)
いにしへは風の音にて秋知りぬ けふは風鈴の音(ね)を散らしをり