ほとほとに野生を知りぬ餌やれど我をるかぎり集はぬ雀ら
おほぜいの短歌(うた)の集成には亡妻より亡夫を詠みしがはるかに多し
響きよき量子コンピュータとふ語の魔力が現実のものとなる日が待たるる
いつ何処で何が起ころうと坦々と進みゆく‘時’こそ普遍の神なれ
国ごとに適した政治体制あるだろう非民主だからと敵視するは愚
何ごとか隣家の犬が吠えている脅しにもならぬ可愛い声で
‘善’も‘悪’も相対的ゆゑ‘悪’なくば‘善’もまたなし 苦き思ひに
家前の花水木には数知れぬ花芽が日毎ふくらみゆくも
世話などは一切せぬにベランダの片隅に黄水仙この春も咲く
美しき音楽に陶酔、また悲しむ。そを創る人間が殺し合ひもなすと