観桜

階下より夕餉の匂ひ漂ひきて確かに吾が妻帰り来たれり

この時期は花見をせねばならぬと言ふ妻に随ひ近隣をめぐる

記念樹の枝垂れ桜は満開で保護する寺寺に感謝しつつ巡る

えどひがんや枝垂れ桜を満喫す染井吉野にはやや早くして

沈みゆく日は逆光にまばゆくて桜古木の陰が並み立つ

垂れ下がる桜の細枝を幼子(をさなご)に触れさする若き母の見目佳し

うす紅に白の混じりて遠見にはけぶれる桜が堤に並ぶ

満開なる枝垂れ桜の枝枝をすばやく飛び移る目白ら羨(とも)し

ちかぢかと桜花のひとつひとつをば観れば色合ひ単純ならず

隣接し緑葉ありて陽に透ける反映は桜花(はな)のうす紅に及ぶ

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