ある時は般若心経となへつつその上(かみ)の人の苦行を想ふ
秒、分、時、日も月も年もなく‘時’はただなめらかに坦々と過ぎゆくのみなり
習ひとして日々行へる事々に大義なくてこそ続けゐるなり
音曲が脳随の襞(ひだ)を震るはせて思考停止に追ひ込む しばし
宇宙的寂しさなどと言ふなかれ木星やけに輝く宵に
「斬る」は「kill」(キル)なり偶然の音(おん)の一致のおそろしくもある
「空(くう)」といひ「無」ともいへるが‘真空’は宇宙の全てを生みしエネルギー
「泌み出す」と「沁み込む」の漢字の使い分け。これも日本語の難しさの一つ
少年期のモーツアルトの脳髄を駆けめぐりし楽章が今わが脳髄に満つ
熱力学第三法則のいふごとく完全なる無秩序に向かふか世界は