生きてなほ空しさはあり宇宙にていかに鐘打てど響かぬごとく
向かひ家(や)の屋根越えのぞく積乱雲ま昼の陽を受けしらじらと照る
夕べには青空も見えてゐたりしが夜に入り突如雷鳴とどろく
八月半ば、つひに消えたり蝉時雨、朝ごと流れ親しみたりしに
漢字にもその構成が腑に落ちぬものありたとへば「毒」などその典型なり
日本の民謡集を聴きゐるにいづれにも奥底に悲哀ゆらめく
日航機墜落事故に散りてあはれ九ちゃんの「上を向いて歩こう」の無残
心奥に深き悲しみ秘め込めて神は‘生命’を創り賜ひしや
玄関先に蝉のなきがらがころがれる もう十分に此の世を楽しんだか
南海上にも台風発生そろそろと秋を伴ひ列島うかがふ