種（しゅ）によらず何ゆゑかくも愛らしい豹の赤子の映像見つつ

朱とは言へ不気味に濁る三日月のつねより細きが西へ没（い）りゆく 言葉たくみに危機感煽り悪法を閣議決定せし醜き人ら

つくづくと思ふは人間の魂の彷徨とふこと宗教史読みて

ツィーツィーと何悲しくてヒヨドリの梅雨空を裂く声のあはれさ

衣類ほかほぼ完全に西洋化せしもの多し　魂はいかん 音楽もほぼ完全に欧米化せしことラジオやテレビに諾ふ

この今の自意識・心がのちの世の或る脳に再現することあるやも

むなしくも願ふは他星人の攻撃受け世界が一つにまとまらんこと 神仏を想定せしより神仏は人の世界に存在するなり

やうやくにアガパンサス一斉に咲かんとす。花盗人を今も憎めり 風鈴の鳴るほどの風もなき夕べ小枝が震へて何かを訴ふ 侵攻し大量殺戮と破壊をせし米軍の重罪イラクの現状に

移りつつ驟雨が瓦をたたく見え直ぐ止めど心の奥に降り継ぐ

歴史書を読むたび思ふは下層なる人らの歴史の欠落せること 大方は殺し合ひ・破壊が占めてゐて人間に真の歴史書ありや 編著者の意図に拘はらず歴史書は権力とは何かを教へて恐し