三が日晴れはしたれど冬空の青にはあらで不気味に濁る
陶然と那智滝ながめ「戦争」が死語となる日を夢見てゐたり
透明な紺碧の空の深部には宇宙の漆黒の闇が滲めり
八、九羽の雀ら小枝にとまりゐてそれぞれ別の方角見てをり
つれなくもまた暮れてゆく年なれどただ在るがまま自然もわれも
「人は花」と言ふは美称にあらずして古くは儚さの喩へなりしよ
害ゆゑに鹿も鴉も食べよとてその料理方法が紹介されゐる
ことほぎの満月中天にクリスマスされど次々と雲が覆へり
ただ一輪、暗き廃寺の庭に咲く山茶花は赤き地の穴と見ゆ
ま青な薔薇、純黄の朝顔などは無く無ければ欲しがる人の悪癖