小庭なる花水木のつけし赤き実のなべて無くなりぬ小鳥のせいならん 万葉仮名： 万葉の時代にも九九算はありしかな十六は「しし」、八十一は「くく」の仮名にて 振り返らば岐かれ道曲がり角さまざまにありし生なれど今がすべてぞ

冗談ならずエヴェレスト山頂が五億年前は海底なりしとふ説 突然の御嶽山噴火に観光客おほぜい被災す　ふたたびの惨

何であれ構成要素個々の挙動を解明しても全体像得ず 寝室の上は樹脂製の屋根にして雀ら歩く愛（かな）しき音す

精神的構造如何、聞くに耐へぬヘイト・スピーチを撒き散らす人ら 何ゆゑぞナチの悪夢のカギ十字が寺院のマークに酷似するのは

一日の電子メールは全世界合計で400億通なりとふ 世界合計で迷惑メールの処理のみにフランス一国の年間予算使ふと

精神的構造如何空き缶など道路沿ひの花壇にポイ捨てするは プランターに放置のグリーン・アスパラの茎伸び小さな花ここだ付く 急速に秋気満ちきて真夏着に過ごし危ふく風邪に負けさう

昇りくる日を裹（つつ）みゐる鱗雲　鱗ことごとくまばゆかりけり 金融の緩和と称して札を刷るその大方は富豪のふところへ

読み返しつくづくと想ふ精神のありやうは万葉と今と変らぬ 週のこと月月火水木金金と唱へしは壮なりし日々のことにて 週を今は日日日日日日日と唱ふるもおぞましいつ止まんかと

竹簡とふ制約ゆゑか孔子らの言（げん）は簡潔にして的確を極む 知らぬが仏？： うち当たらば破局かもしれぬ小惑星　地球をかすめて行きしを知るや 接近する小惑星の大方は検知されずと。知ればおそろし

ガザ復興に８千億円要るといふ破壊せしイスラエルが負担すべきでは？ 許されよ仏壇の供花のさびしきとき造花を少し加ふることを 晴れゐしは錯覚なりや頭（づ）を打ちて雷鳴とどろく部屋内に居て