昼夜とほし一定リズムと音色(ねいろ)にて鳴く虫が居る あと幾日もつか
絶え間なく西より工事の音聞こえ現場は其方(そなた)と思へば東なり
歳のせい?否、本能の生命(いのち)への賛美と思へ涙もろきは
ふと気付くあるかなきかの風に鳴る日向の風鈴の幽かなる翳
ひとたびは途絶えし蝉声ふたたびを庭木に響くきびしき残暑に
あなどりて窓辺に坐しゐておどろかさる突然頭上で雷鳴とどろき
ささやかな幸かな十日留守せしにやがて雀ら庭に戻り来
物好きに「君のルーツは?」と問はるれば即座に答へむ「この地球だ」と
炎炎と人悩ましし猛暑去り蝉もしづまり寂しさ萌す
聞き慣れし鳴き方の虫が今秋も涼やかにうたふ 生き延びたるや