<獺祭(だつさい)> とふ酒を貰ひて妻と飲む馬場あき子氏の詠みゐし酒なり
千曲川氾濫の記事に去来せり藤村のこと妻と旅せし時のこと
白壁の茜に染まる一瞬を撮さむとして駆け出だしたり
真上なる電線ゆ鴉が飛び立つとき翼の擦過音の妙に生々し
既にして寒は明けしにコロナ禍に人らの啓蟄はしばしおあづけ
(口語新仮名): ちょっと変、マスク姿の舞妓さん マネキンたちもしてるからいいか
風向きの定まらぬ中あるときは北風に押され歩む駅前
ありがたしコロナ感染対策用マスクが無精髭を隠して呉るる
新型のコロナ・ウイルスたちまちに全地球を席捲、世界の狭さよ
午後となり北西の風の強まりて大気が冷気に入れ替はりゆく