暗闇にたむろする鴉らを撮りたるにそれぞれの両眼するどく光る
朝朝にすれ違ふ中年のサラリーマンある日より急に「おはよう」を交はす
ヒヨドリの声音(こはね)は二色(ふたいろ)だみ声とヒーヨヒーヨと 使ひ分け知らず
歩み出てしばらくののち淡雪(あはゆき)の流れ来にけり朝の市街に
テレビドラマの惨劇は現実に起こり得る人生は正にドラマであるから
定刻に餌やる雀らこのごろは電線にずらりと並び待ちゐる
ソダチとふ純白の馬が疾駆する正に天馬が翔(かけ)てをるなり
鳥は種(しゅ)ごと飛び方違ふヒヨドリは滑空もまじへバタバタスウィースウィー
地上にて最も近くそしてまた最も遠きは今居る地点
宵ごとに群鴉(ぐんあ)が黒々と乱舞して叫喚とともにおどろおどろし