般若心経を毎朝浄書するといふ短歌(うた)あり我は走り書きするに
姿こそ見えねいくたの雀たち木犀の葉叢にまぎれて騒ぐ
忘れざる五歳のときの疎開行、不発弾の臭ひいまも鮮明
真直ぐなる散歩道横切る黒猫のきのふは右よりけふ左より
いふなれば暖気と寒気のせめぎ合ひ冬から春へ大気うごめく
音声にて <源氏物語> 聴き思へるは王朝のごとき平和の尊さ
大敵は塩分摂取過多にして高血圧・各種発作・短命の因
思へらく歴史小説の罪なること読者は記述がすべて真と思ひ勝ち
はるかにもヴェランダより見ゆる冠雪の鈴鹿山系は春霞せり
あり得ざる命命鳥(みゃうみゃうてう)の出現を幻覚するがの群鴉(ぐんあ)の乱舞