とどろきて我が脳髄を駆け巡る思想あり冷静に走らしめつつ
吾が妻の買ひためしリンゴの日々減るは当然なれどなぜか寂しき
生ゴミの袋を破りカラスらが食ひ物あさるあさましくもあはれ
騒ぎつつ雀ら遊ぶ安らぎに心を裁ちて短歌を詠むも
木漏れ陽に特別の感情を抱く文化、西洋にはなしとあるアメリカ人
中国の「三国志」にて思へるは曹操と信玄がふしぎに重なる
部屋内(へやぬち)に数個の時計をめぐらせてそれぞれの遅速を気にする生活
肩おとし歩むサラリーマンにうなかぶすゆらりと高き向日葵おもふ
小児科医院廃業ののち間なくしてショベルカー二台にてたちまち更地に
雀にやる細かな餌を野鳩二羽ねらひて来るなりあはれとも思ふ