青空を背景にかがやく紅梅の枝間を出入りし雀らあそぶ
写し絵の老人を指し「これは誰?」と妻に問ひしに笑ひて答へず
もし一葉が今の世に出で札に載る自分を見たらばいかに思ふや
頭上低く朱の尾を見せて飛び去りし中型の鳥あり名は?と自問す
土鳩一羽電柱の天辺(てつぺん)にて悲しげに鳴く常に番ひなりしが連れはいづこぞ
過去に見し記憶なきジョウビタキこの冬はしばしば飛び来、今また屋根に
島の数一万五千ちかくといふ日本もまんざら狭くはあらずか
冷たくて思はずかざす掌(て)あたたかし点けしつもりの電気ストーブ
たまさかに隣家の屋根を走りゐる番(つがひ)のジョウビタキに思はず声掛く
電線が多すぎるなどと嘆くまい 雀・椋鳥(むく)・鳩・鴉などとまりては鳴くよ