最短にて過ぎし今夏の梅雨なれど七月に入りて怒りの戻りか
断続は切なかりけり熊蝉の裏庭の木にて鳴きては止みぬ
真夜にして何かに襲はれし蝉ならむ断末魔の声発してすぐ止む
明けやらぬに雀ら騒ぐを明るしと聞きておのづから心安らぐ
いちにんがドラマAで乞食、Bでは王、演じて人生そのものと思ふ
主幹をば疵(きず)つけられし金木犀、下層より葉をどんどん落とす
中国の琴は梧桐(あをぎり)にて作るらし我が古詩にも「梧桐(ごとう)の日本琴」詠まる
最近の異常な暑さに喘ぎつつも心身を正し生きてゆくべし
子雀ら巣立ち終へしが今もなほ巣の近くにてじやれ合ふをかし
テレビ画面観つつ思へりこれを送るために幾百の人ら働く