何をやつても稚戯に過ぎずとふ声のして心よろめく時期のありたり
おびただしき数の鴉らが夕空におらび合ひつつ乱舞しやまず
あらためて思ふはご先祖の一人でも欠くれば自分は存在せざる
ついうっかり「令和5年」と書いてしまう。この癖いつまでつづくのだろう
昇り龍いづるかと思はず息を呑む年の始めの日の出なりけり
いづくにも女と男が居ることの安堵感あり。その当たり前
生誕地に住みしはその後に比ぶれば僅かなれどもむやみに想はる
不特定の出詠者より成る歌集になるほど「鈴木」姓の人の多しも
冷える朝もアンテナの先にとまっていてカラスはこごえて死なないのだろうか
落語家の談志の死をばあるニュース「だんしがしんだ」と回文で報じき