愛しくも晩冬から春へ妻や娘(こ)がプランターに咲かす花花いくた
春先にしては異常の高温つづき雪柳はや花つけ始む
猫はみな同(おんな)じ顔に見えるけど猫には人間はみな同じ顔か
猫の額の狭庭に黐の木立ちゐるが鵯(ひよ)、雀、尉鶲のほか奇声の野鳥も来る
青空を背景にかがやく紅梅の枝間を出入りし雀らあそぶ
写し絵の老人を指し「これは誰?」と妻に問ひしに笑ひて答へず
もし一葉が今の世に出で札に載る自分を見たらばいかに思ふや
頭上低く朱の尾を見せて飛び去りし中型の鳥あり名は?と自問す
土鳩一羽電柱の天辺(てつぺん)にて悲しげに鳴く常に番ひなりしが連れはいづこぞ
過去に見し記憶なきジョウビタキこの冬はしばしば飛び来、今また屋根に