この景色どこかで見たな、ああ墓地だ。ある大都会の広角写真に （口語新仮名）

三重の災害受けしこの国を穢土とや言はむ浄土とや言はむ

荒寥たる更地に生ひ立ち自らの意志もて育ちゆくビルの骨

「良い人とは他人（ひと）の幸せを喜ぶ人」・・ラジオより聞こえ半ば諾う

くたびれて眼（まなこ）つむれば浮かび来る峨々たる飛騨の雪の連山

灯（とも）さずに降るる階段の先に沈む闇はこの世の裏に繋がる

遠見にてピンクを刷ける一画に近付けばうれし河津桜なり わが街の１３８タワーを見上げつつ東京スカイツリーの高さを量る かくほどに無数の悲劇を繰り返す生命（いのち）を造りし神の罪おもふ 一斉は一斎ならず斎場は斉場ならず　斉と […]

国の機能首都集中の危ふさは原発事故にて実証されたり 思ひ出せず焦りて三日やうやくに人の名浮かび嬉しかりけり

鳴きもせで幾羽の鳶が空に舞ひ鱒の生け簀に影を落とせり ある額を払へば釣り得と女人言ひ目前（まさか）で新たに鱒を釣り上ぐ このあたり幅ひろくなり木曽川はゆらりと流れ下（しも）輝けり

夢に見る雀はとても愛想よく肩に乗り掌（て）に乗り餌をついばむ （新仮名）