春先にしては異常の高温つづき雪柳はや花つけ始む
葉を落とせば貧弱に立つ花水木これしきのものかとある意味あはれ
永年を親しみてこし金木犀たが伐り倒ししやレクイエム捧ぐ
大木にあらねど家の前に立つ花水木の払ふ無尽数(むじんず)の枯葉
植物中もつとも古き‘種(しゆ)’とあれば黄化(わうくわ)せし公孫樹(いちやう)のいと神々し
群がりて多彩に咲ける百日草ガス吐き通る車群にも自若
主幹深く傷つけられし金木犀じわりじわりと死にゆくあはれ
門脇に雑草のごと育ちたる二本の白百合咲き初(そ)めかがやく
大方の薔薇の花散り一輪のみなほ残りゐて雨に耐へをり
音もせで木々に新葉育ちゆく庭のありやうは春から夏へ