散らぬまま紫陽花の華はさまざまに色変へ今や浅緑(あさみどり)なる
公道に沿ふ小花壇に盛りなるアガパンサスは妻が植ゑしと
いつになく紫陽花が早く色付きゆく今夏は猛暑で長くつづかん
くさぐさの若葉に揉まれ山藤は色冴えずあり野生のさだめに
もりあがる純白の花にて身を覆ひ潰れてしまひさうな「なんじゃもんじゃ」在り
花冷えに桜の開花が遅るるに一足先にと芝桜咲(ゑ)む
とがる固き蕾を宙に立て辛夷はしづかに時を待ちをり
ただ一輪、暗き廃寺の庭に咲く山茶花は赤き地の穴と見ゆ
ことごとく赤き実も落ち花水木は幾多の花芽かかげ越冬す
葉は落ちて実のみ残れる花水木されど花芽も既に着けゐる