酔芙蓉 朝純白の花花が重たげに開き夕べ頬染む

ブロック塀の根元に育ち咲（ひら）きたる白百合を剪り妻は飾りぬ

路傍なる花うつくしと見惚れをり名を知る知らずなどだうでもよくて

歩みゆく路地に沿ひ立つ家家の軒先・庭の花々を愛（め）づ

小鉢なるペチュニアはじめは幾花の咲くかと危ぶみしが今二十ほど 小鉢よりあふれ咲きゐる紅色のペチュニア強し闇にも日にも

家前のハナミズキやうやく咲き始め白き球体になる日の待たる

桜木の開花宣言はじまりて紫陽花爆ずるごと新葉吹き出づ

葉の間（あひ）ゆ覗く山茶花一輪の紅のやさしさ 母をこそ想へ

国道に沿ふ小花壇にアガパンサスうす紫を刷きて揺れゐる

紫紺の実の紫式部は梅雨のいま薄むらさきの小花を咲かす