識閾の奥の奥のまた奥より光ともなひ聞こえくる音
一年間ほどアメリカに住んだことあるがそれが四十年余も前のことだなんて
鋸歯状の波が脳内を駆け巡る 彼方に一点の光ある見ゆ
太陽をたたき割る夢見しあとはただしみじみとかなしかりけり
生きてなほ空しさはあり宇宙にていかに鐘打てど響かぬごとく
天上の曲流れつつまどろむにそを創る人間が今も殺し合ふ
大自然に比すれば余りに小さくて我らチマチマと生くそれも必死に
生きてきて何を悔やむや業績表見ればこれしきの人生にして
漢詩にて「我神」とあるをある本は「わがたましい」と訳せり なるほど
西の涯(はて)に向きてほそぼそと歩みゆく法師の絵をみて肝冷えにけり