向かひ家(や)の屋根越えのぞく積乱雲ま昼の陽を受けしらじらと照る
昼よりの熱気残れる夕べにて西にあかあかと線状の雲の列
いちめんに空に張りたる雲の膜しろじろとしてシミ一つなし
この宇宙に果あるものならその果まで行きて見たしも銀河のからくりを
案の定、‘人’は地球に倦むときはひたすら宇宙をむなしくめざす
身の裡にばくだん抱ふるごときかな大日輪がじわじわ昇る
見よ今日はすごい快晴だ紺碧が深くて宇宙の果てまで続く
ビル陰より現れながら空に吸はれ蒸散してゆく雲片のあり
その寿命せいぜい百歳の人間が宇宙はいくつも在るなどと論ず
宇宙的寂しさなどと言ふなかれ木星やけに輝く宵に