満月といへど地球の陰に入り今夜の月は生気うしなふ
常に濁る夜空にめずらしや星一つ輝けるあり正に金星
星座に関する書を読みながら星のなき濁る夜空をむなしく見詰む
白雲の断片が空にちらばりてあたかも散開星団のやうだと見てゐる
小6時だったか太陽の惑星の順を覚えたのは。「すいきんちかもくどてんかいめい」と
雲の写真撮(と)りつつ思ふ啄木が「雲は天才」とはよくぞ言ひたりと
“宵の明星”とやや古き名なれど輝きのひときは激しきを視(み)て佇めり
白雲のかけらがあまた散らばりて散開星団のごとく見えをり
流れゆく雲の一部がほころびて空の欠片(かけら)が動くごと見ゆ
空覆ふ雲海の一隅に奇蹟のごとひとひら小さく青空のぞく