短歌の形式と添削の視点
「大好きなハナミズキ見つけ思わず曲がる自転車 春追っかけて」(なっちゃん2002年9月21日)
5?7?5?7?7という定型をもつ短歌と一口に言っても実に様々です。古歌然としたものから茂吉流近代短歌、柊ニや佐太郎風現代短歌、また啄木流口語的(あくまでも口語的であって、仮名遣いは旧仮名)短歌や邦雄風前衛短歌、そして比較的最近の俵万智流口語短歌、果ては定型さえ捨てた非定型(ないし自由律)口語短歌まであります。上のお作は俵万智流口語短歌に近いと言えましょう。とても50代とは思えない若々しいお歌です。俵万智流口語短歌は一世を風靡しましたから、大変多くの人達がその影響を受けました。また触発されて短歌を始めた人も多いようです。その状況はかなり徹底していて、あたかも俵万智流でなければ短歌ではない、みたいな雰囲気さえ創られました。それは今に至るも一部に続いているようです。ここではそんなことには無関係に、つまり形式(上に述べた何々流とかだれだれ風とか)にはそれほど拘らずに、人を感動させる、日本語の美しさを最大限に、これだけを作歌の目標に、添削をしています。たまには冒険的な作歌もよしとしていますが。
これからどんな短歌を目指されるのか、まずそれを決めないといけませんね。
さて、お作ですが、かなりご自分だけ分かっている、ふうな面がありませんか。特に「思わず曲がる自転車」の句はそうです。「思わず(ハナミズキの方へ)自転車のハンドルをきる」ことなのでしょうが。結句「春追っかけて」はハナミズキに春を仮託したのですね。しかし、ハナミズキは別に逃げるわけではないでしょうに、「追っかけて」とは?
添削:
「あ、大好きなハナミズキだ!と自転車の方向急転し<春>へと突進」(なっちゃん)
(これ、非定型のようで、それなりのリズムがありますね。)