一字一字を大切に吟味したい
「想いでは夕焼けのように焼きついて母と子の笑顔が雲に浮く」(伊那佳)
今日は介護認定5の母を見舞いました。昨日より雪が厚くなった仙丈ヶ岳、散りゆく紅葉の寒々しい風景を見ながら向かいました。心が重くなり時々車を止めて夕焼けを見つめました。2人暮らしは寂しく、賑やかに暮らした時の家族の笑顔が雲のように浮かびました。施設で車椅子になり6年目の認知症の母、亡父、遠方の子らを思うと昔が懐かしくなります。
つまり、今はご夫君との二人暮らし。ご父君既に亡く、(何人か不明ですが)お子さんたちは巣立っておられ、遠方で生活しておられる。これでようやくご家庭の状況が把握出来ました。かっては賑やかな家庭だったのでしょうね。今の寂しさもある程度は想像出来ます。時々認知症で病院か介護施設に入っておられるご母堂を見舞うわけですね。時は深秋、山々に囲まれたところとて、寂しくも寒々として来るのでしょう。胸をかきむしられるような昔日の家庭団欒の想い出。お作で「想いで」は「何かに追い立てられるような想いでその場を去った」といったときの「想いで」ではないわけで、やはりはっきりと「思い出」あるいは「想い出」としたいものです。言葉芸術の短歌ですから、定型、節調、語感といったことのほかに、一字一字を大切に吟味したいですね?
改作:
「想い出は茜のように焼け焦げて母、子らの笑顔が赤雲に浮く」(伊那佳)
「想い出」にするつもりでしたが、「想い出」の語彙は寂しいです。楽しかったことが本当に過去になってしまったようです。
「想いで」で曖昧にしてしまいましたが私の気持だけを優先しました。
改作:
「想い出は茜のように焼け焦げて母、子らの笑顔が赤雲に浮く」(伊那佳)