視覚的にも美しい漢字
「秋雨のまゝに暮れ行く庭隅に
しゅうめい菊のひともと明し」(幸乃さん2001年10月18日)
白花の秋明菊が群れて咲いているあたりだけ ぼうっと ほのかに明るくみえます。 「秋明菊」と漢字にしますと 「明」の字がふたつになるのでひらがなにしてみました
”白花の秋明菊が群れて咲いているあたりだけぼうっとほのかに明るく・・・”と添え書きにあり、歌では「ひともと」(一本)となっていますね。たぶん、添え書きの方が事実なのでしょう。秋明菊をあえてひらがな表記(但し菊だけ漢字)する工夫をされましたが、効果のほどはどうですかね。(いっそのこと、菊もひらがなの方がいいでしょう。)
秋明菊という漢字は、視覚的にも美しいですね。これをひらがなにするのは勿体ないでしょう。(もちろん、音感もいいですね。)
添削・改作
「雨にはや暮れつつ暗い庭隅に秋明菊の白きむらがり」 (幸乃)
これなら奥行きも出て、いいですね。(「暗き」をあえて「暗い」としました。「白き」の「き」との重なりを避けたことと、音感を柔らかくするためです。ここだけ口語的だから作者のつぶやきのようにもとれますね。)また、「暗い」とすることで、秋明菊の白を一層印象づけようとしました。こうした操作は、あくまでも歌全体の感じからしています。
一首一首を大切に、推敲によって育て上げる、という感覚です。