七夕の夜
- 2011.07.07
七夕の夜だというのにしとしとと雨降り止まない。日本のようだ (新仮名) 人ひとり病めば家内(いへぬち)暗くなる存(ながら)ふる、はた死に近きいづれ
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
七夕の夜だというのにしとしとと雨降り止まない。日本のようだ (新仮名) 人ひとり病めば家内(いへぬち)暗くなる存(ながら)ふる、はた死に近きいづれ
ベクレルとかシーベルトとかつい最近まで知られざりし語 世を席捲す 先見えぬ原子炉事故の成行きの不気味な靄が日本をさいなむ 玄関に妻の飾りし白紫(はくし)なる花菖蒲じつは休耕田育ち
いついかなる事故も想定の外(ほか)なれば想定外は言訳にならぬ
蒼穹の割れて方形の氷塊があまた落ち来んほどの眩暈 政府・国家戦略室の迷妄: これほどにひどい大事故起こしても原発推進を言うのか政府よ (新仮名)
砂煙あぐる奔馬の勢ひに宇宙の闇を駆けぬけし夢 氷より熱く火より冷たかる熱情いづこ人は老いゆく それぞれの立場で釈明相継ぎて原発事故の迷走続く ここに来て原発推進を諦めぬ企業の論理は迷妄そのもの
争ひて残飯ついばむ雀らに幼も交じりひときは騒がし 原子炉事故: 霧と消えし上空よりの放水に命じし首相の狼狽あらは 汚れあるウランを使ふ原子炉は原爆にはならぬと明言あるべき 被災地を戦場としてたち働く自衛隊員の真情知り得ず
途切れずに花の咲き継ぐうれしさよサツキ、菖蒲、ジキタリス、薔薇 政治史を歴史となすが日常の生活こそ主体 今も変はらず 政治形態いかに変はれど人々の生活の実相は今に変はらず
ビンラディン殺害にアメリカ湧きかへる。ああ消しがたき西部劇の影
現地を見し人らいちやうに驚き言ふ震災は映像よりはるかにひどしと 日を追ひて新たな場所での漏れを告げ原発事故放射能汚染が広がる
屍を抱きこみ海に浮かぶ家の窓が夕陽に輝(て)るを幻視す 初動作業が遅れしゆゑか放射能洩れが日を追ひ深刻化する