火星
- 2022.12.12
黄の点に写れる星をいつぱいに拡大すれば赤き火星なりき
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
黄の点に写れる星をいつぱいに拡大すれば赤き火星なりき
男には詠めぬ事あり「仔熊抱く三つめの乳房のやうに」
抜け羽根の路上に落ちゐてあはれなり雀か鳩なり鴉にあらず
蝉絶えし朝の散策たかだかとこほろぎ鳴けり常のくさむらに
投下の日を有難がるごと「原爆の日」と呼びなれてあはれ日本人われら
涼風吹く快晴の朝を撮らむとし風は写らぬとあきらめて止む
おほぜいの短歌(うた)載る本を読みゆくに作者は圧倒的に女性が多し
テレビなれど匂ひを感ず湯気たてていかにも美味しさうな料理並べば 米国の戦争好きには呆れ果つ有り余る兵器を持つが故なり
止む間なく鳴く虫に惹かれ近付くにハタと止みたれば五体固まる
去年(こぞ)と全(また)く同じ声音(こわね)に鳴く虫は生き延びたるやあるいは子なるや 甲子園の熱闘終はりイチローの四千本安打出てあとは涼待つ エジプトにシリアにイラクに殺戮の盛んなる冥さに脳幹へた