電流はもとより磁石も電子のわざ、なべての現象に電子が関はる 光子とは不生不滅の神の種、電子とともにすべてを統べる （新仮名）

ひらひらと落つると見えてもみぢ葉の終のひと葉の日に透きてあり 常緑の葉叢に澄明な空色に見ゆる葉もあり逆光を浴びて

人の世を超えてひろらかな認識の無生法忍は宇宙をも掴む

吹かれつつ海辺に立てば彷彿せり北海道の四桁国道

ハイヒールでビルの廊下を闊歩する美女が時代劇で醜女（しこめ）を演ず 輝ける現代女人も世が世ならば奴婢あるいは遊女かと時代劇に思ふ

離散集合自在に躍動する電子が物一般の変化（へんげ）の元なり 動的なるが電子群の本性にてその恩に生命体も持続し発展す

渡り鳥に国境はなくあるものはヒマラヤさへも自由に越えゆく

ぎらぎらと陽を反射せる鏡面の闇に在るときの底（そこひ）なき黒 消滅の危機に瀕するもの多し動物のほか弱小言語も

雨水をバケツに溜めて花に遣るささやかなれど天の涙を 美味しからんと水道水より雨水を雀らに遣るバケツに溜まれば

夢にて問ふ宇宙の星の全数はサハラ砂漠の砂粒を超ゆるや 宇宙にて最遠の場所は今居る此処、球面上に居るに類似して