仲秋の名月をしかと見つめつつその底知れぬ孤独を思ふ
「おじいちゃん髪の毛もっと大事にして」と言はれ苦笑す皮肉にあらざれば
縁(えにし)ある青年実業家は中国人 仏教大切、朱熹、蘇軾など語る
聞こえ来るさまざまな音に何なのか判らぬ多し今のこの声も
かがやきて大波型の白雲が日を襲ひをり 地上も波高し
「かまけて」は「感けて」だとは誰知ろう元は「感じて」の意味なのだろうか (新仮名)
口笛に寄りくる雀らはしきやし姿見すれば直ぐ飛び去るが
蚊を潰す。血の散らざれば吸ふ前とわかり少しくあはれに思ふ
秋の虫にまじりひと声鳴きたるは蝉かそら耳か外灯の辺(へ)に
台風の去りたるあとの朝の風あびて「秋だー」と妻が叫べり