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俊足の‘時’にしばしば追ひつかずカレンダー捲るさへ遅れがちなり

「狩」なる字、「けものを守る」とは笑止にてブラックユーモアの悪趣味とさへ

親・きやうだい 九人がつひにわれ一人に。‘時’は確実に絆切りゆきて

ヒヨドリが奇声発して上下に飛び他の一羽とともに光に紛る

自殺・自死・自裁・自決と言ひ方もさまさま その数二万人超なり

還暦を華甲とも言ふこと今に知るその故(ゆゑ)は思はざる理屈でありき

「空しい」などと嘆くは生享けた人間の贅沢なたわごとである、とも思うこの頃

遠山の雪溶けたりと見つつゐて人らの春恋ふ息遣ひ聞く

醒めながらやや目眩(めまひ)あり‘赤い雪’空こめて降る夢を見しのち

その寿命せいぜい百歳の人間が宇宙はいくつも在るなどと論ず

電線が多すぎるなどと嘆くまい 雀・椋鳥(むく)・鳩・鴉などとまりては鳴くよ

ひたすらに美しきもののみを詠みゆかむ過去生のシミなど拭ひ取るべく

たまさかに隣家の屋根を走りゐる番(つがひ)のジョウビタキに思はず声掛く

冷たくて思はずかざす掌(て)あたたかし点けしつもりの電気ストーブ

島の数一万五千ちかくといふ日本もまんざら狭くはあらずか

人の身体(からだ)宇宙開闢以来の極微粒子あつまりて成ると思へば尊し

過去に見し記憶なきジョウビタキこの冬はしばしば飛び来、今また屋根に

「“神仏”と言ふなれど“神”と“仏”とはいかに役割分担なすにや」

土鳩一羽電柱の天辺(てつぺん)にて悲しげに鳴く常に番ひなりしが連れはいづこぞ

太平洋戦争における死者の数 日本は三百万アメリカ五十万とぞ

ビル陰より現れながら空に吸はれ蒸散してゆく雲片のあり

頭上低く朱の尾を見せて飛び去りし中型の鳥あり名は?と自問す

もし一葉が今の世に出で札に載る自分を見たらばいかに思ふや

写し絵の老人を指し「これは誰?」と妻に問ひしに笑ひて答へず