2023年3月5日 / 最終更新日時 : 2023年3月5日 gotohman 短歌を月毎に画像で見る 2023年2月の短歌 画像をクリック(タップ)すると自動で見ていただけます。画像右上のボタンで一時停止、再開、手動での更新ができます。 俊足の‘時’にしばしば追ひつかずカレンダー捲るさへ遅れがちなり「狩」なる字、「けものを守る」とは笑止にてブラックユーモアの悪趣味とさへ親・きやうだい 九人がつひにわれ一人に。‘時’は確実に絆切りゆきて世の不条理憂ふ矢先に裏庭の樹木に椋鳥悲しげに鳴くヒヨドリが奇声発して上下に飛び他の一羽とともに光に紛る自殺・自死・自裁・自決と言ひ方もさまさま その数二万人超なり還暦を華甲とも言ふこと今に知るその故(ゆゑ)は思はざる理屈でありき「空しい」などと嘆くは生享けた人間の贅沢なたわごとである、とも思うこの頃遠山の雪溶けたりと見つつゐて人らの春恋ふ息遣ひ聞く醒めながらやや目眩(めまひ)あり‘赤い雪’空こめて降る夢を見しのち 曲想にほれて唄ひこしがその歴史知れば涙さそはるその寿命せいぜい百歳の人間が宇宙はいくつも在るなどと論ず電線が多すぎるなどと嘆くまい 雀・椋鳥(むく)・鳩・鴉などとまりては鳴くよひたすらに美しきもののみを詠みゆかむ過去生のシミなど拭ひ取るべくたまさかに隣家の屋根を走りゐる番(つがひ)のジョウビタキに思はず声掛く冷たくて思はずかざす掌(て)あたたかし点けしつもりの電気ストーブ島の数一万五千ちかくといふ日本もまんざら狭くはあらずか人の身体(からだ)宇宙開闢以来の極微粒子あつまりて成ると思へば尊し過去に見し記憶なきジョウビタキこの冬はしばしば飛び来、今また屋根に「“神仏”と言ふなれど“神”と“仏”とはいかに役割分担なすにや」土鳩一羽電柱の天辺(てつぺん)にて悲しげに鳴く常に番ひなりしが連れはいづこぞ太平洋戦争における死者の数 日本は三百万アメリカ五十万とぞビル陰より現れながら空に吸はれ蒸散してゆく雲片のあり頭上低く朱の尾を見せて飛び去りし中型の鳥あり名は?と自問すもし一葉が今の世に出で札に載る自分を見たらばいかに思ふや写し絵の老人を指し「これは誰?」と妻に問ひしに笑ひて答へず