空振りが最もうれしい事もある。たとえば災害の避難訓練など
この夏は例年になくクマゼミの多く盛んに鳴きてうれしも
満月見ていづれがロマンか迷ふなりかぐや姫あるいは人の足跡
ありなしのかぼそき雨を顔面に受けつつ散策 楽しかりけり
胸衝(つ)かる「生涯鏡中に在り」とふ語に。さればまじまじと自(し)が顔を観る
最短にて過ぎし今夏の梅雨なれど七月に入りて怒りの戻りか
断続は切なかりけり熊蝉の裏庭の木にて鳴きては止みぬ
真夜にして何かに襲はれし蝉ならむ断末魔の声発してすぐ止む
明けやらぬに雀ら騒ぐを明るしと聞きておのづから心安らぐ