短歌(うた)生(あ)るる刹那をとらへ叫ぶなくこれにてよろしと慰みてをり
つくづくと己が人生を顧みるに可もなく不可もなしあなありがたし
全宇宙的真理とは何?「全有」と「全無」の置換ダイナミズムなり
全宇宙のダイナミズムを思ふとき「人間存在」など塵の一粒 (故に尊し)
概念にとどまる限り「死」は言葉。現実の死との超えがたき断絶
自(し)が妹の訃報を聞けどうろたへぬ妻なれど内心の渦は量(はか)れず
予期せざる妻の妹の訃報うけ壮健時の残像消しがたく居(を)り
幾種類の鳴き声ヒヨドリは持つならむ奇妙な鳴き方いま初に聞く
楽が鳴る。かの音かのリズム恋ひながらいつしか心は融けてゆくなり
今は亡き歌手の歌声聴くことのなつかしけれど冒涜ならずや